八女郡黒木町鹿子尾の地元学

asahiro2007-10-29

先日、地元学ネットワークの協力のもと、鹿子尾の皆さんと私達で、1泊2日の地元学調査を行いました。地元学の詳細は、関連図書やサイト情報をみてください。

ここは、最近、元小学校の校舎を都市農村交流の拠点「えがおの森」として改装を終え、その利活用の一環として今回の調査が企画されました。過疎化・高齢化の進むこの地域の振興のために、調査により地元の「あるもの」を探し出し、「あるもの」と「あるもの」を組み合わせて、新しい「楽しみ」、「自然」、そして「仕事」を考えようという2日間でした。

初日は、フィールド調査で、班ごとに分かれて概ね下記のような調査を行いました。

  • 食べ物班:おばちゃんの作る食事の作り方やだし、材料の調査。
  • 一代記班:それぞれお家を訪ね、おじいさん、おばあさんのヒアリング
  • 水・土・光・風班:地形や風土、昔からの里地・里山の営みの片鱗を探す。
  • デザインアクセス班:ここをこうしたらいいというアイデアだし。
  • 見て歩きある物班:とにかくある物を探し、新しい組み合わせを考える。

また、出会った人カードや情報カードをつくり、情報を集めました。

二日目は、情報を整理して発表会です。

この日の鹿子尾は天気に恵まれ、稲刈りの終わった棚田の中を、土の人(地元の参加者)と風の人(地元外の参加者)が一緒になり、農林地や縁側におられる地元の方々と話をして回りました。訪ね回る中で、様々な貴重な話を聞くことができました。

内容はざっくり省きます。吉本先生から指摘いただいたことは、地元も、行政も、九大も、良かれと思って動いているが、皆、間違っている点があるということでした。大学の存在は大きい、でも、実施するのは地元である。合併を進めようとしている行政はあてにならない。この関係性を見直し、もっと真剣に3者が取り組まなければ、この状況が確実に悪化するということでした。

この調査に参加いただいた地元の方は、部分参加が多く、2日間の参加は役員の4名の方だけでした。
このように地元の参加が少ないのはなぜでしょうか?

広報が不十分だった、大学が前に出すぎたということもあると思います。しかしながら、地元の真剣さややる気はあるのか、ほんとうに人材という資源がここまで限られているのか。このような点を検証することが大切です。また、この地域の男社会、女性が前に出れない風習も、活性化に向けた連帯や協働が進まない、共感の広がらない遠因ではないでしょうか?

実際、訪ね歩く先々で出会う方々は、一人暮らしのおばあさんや、おじいさんばかりでした。どんなに過疎化の進んだ集落であっても、その地域の楽しみ、自然、仕事の将来像を考えるには、このような地道な調査を積み重ねるしかない。ということを、新たに学んだ2日間でした。ご協力をいただいた皆様方、ありがとうございました。