ナチュラル・イングランド

2006年10月11日、英国の野生生物の保全を業務対象としていた特殊法人イングリッシュ・ネイチャーEnglish Natureと、景観・アクセス・レクリエーションを業務対象としていた特殊法人カントリーサイドエージェンシー(田園地域庁、Countryside Agency)、そして地方開発局(Rural Development Service)が統合し、ナチュラル・イングランド Natural Englandが設立されました。

ナチュラル・イングランドの設置目的は、トップページにも書いてあるように、

Natural England is here to conserve and enhance the natural environment, for its intrinsic value, the well-being and enjoyment of people and the economic prosperity that it brings.
自然環境の本質的な価値、健全性、人々の楽しみ、そして、を経済繁栄を、保全、強化するために、ここにナチュラル・イングランドを設立します。

とあります。

BBCニュースによると、新しく保全を主管するナチュラル・イングランドは-

  • 健全な環境(healthy environment)、緑地空間での楽しみ(enjoyment of green spaces)、持続的な資源の利用(sustainable use of resources)、そして、将来の保障(a secure future)を目的に設置する。
  • Chairman Sir Martin Doughty 談「ヨーロッパの中で、立法機関として私たちほど幅広い役割を付託され、大きなスケールで取り組む組織はない。」"No other organisation in Europe matches the breadth of our legislative remit, and the scale of our challenge,"
  • 今回、景観と生物多様性に関する責任が統合されたことにより、ナチュラル・イングランドは、直面する気候変動に対し、弾力的に取り組むことができるでしょう。"By uniting responsibility for landscapes and biodiversity, Natural England will be working to build resilience into our natural systems in the face of climate change,"
  • ナチュラル・イングランドは、2500人を雇用し、年間500万ポンド(約1千億円)の予算で、自然環境の保全、強化、そして現在と将来の世代の利益管理を行い、持続的な開発への貢献に責任を持ちます。Natural England, which employs 2,500 people and has a budget of £500m, is responsible for ensuring that the "natural environment is conserved, enhanced and managed for the benefit of present and future generations, thereby contributing to sustainable development". 地方の運動家は、この予算の少なさと力不足を指摘している。

英国を代表する2つの景観保全政府機関の統合が、活動の強化なのか、リストラなのか良く分かりませんが、景観保全生物多様性保全の連関を強化したことは、レクリエーションの枠組みに生物多様性保全をより強く位置づけたと思われます。

昨年度の国際シンポにおいて、英国セントラル・ランカシャー大学のEunice Simmons博士は次のように指摘されていました。
ナチュラル・イングランドは多くの森林活動を開催するために、森林委員会(The Forest Commission)の協力を得、また、英国環境食料農村省(DEFRA)により新しく設立された森林管理政策部門と連携することにより、さらに強化されるだろう」
これは、森と林業、地域経済をも含めた、再生と持続的な開発に向けて、地域のパートナーや投資家との連携をさらに強化していく体制を政府が取ったということを意味しています。

以前の組織は、官僚的(bureaucratic)と揶揄されていたようですが、新しい組織が、より機動的な活動ができるかどうか、今後の動きが楽しみでもあります。