4月からの考え方

さて、先日から、3年生(新4年生)への研究室説明会が行われています。私の研究室は、下記の考え方を基本に活動をリスタートさせることとします。参考にしてください。

緑地環境保全研究室
Landscape Conservation and Restoration Laboratory

本研究室は、社会に内部化されない緑地環境の保全を目標に下記の3つの教育・研究を柱に活動を展開する。

1.環境調査
緑地環境に存在する種・植生・景観を題材とし、その分布、周辺の物理的環境、そして社会的環境の調査を行い、種の生存を規定する状況や保全に資する情報を多面的に調査する。
なお、ここでいう物理的環境とは、主に空間的な要因を指し、土壌や周辺植生、照度環境などである。また、社会的環境とは主に3つに分かれ、1つは時系列的な植生の変遷や人的利用の側面を言う。もう1つは、住民や市民の認知度や現在の関わり方、そして3つ目は行政計画や法制度とする。

2.環境管理
緑地環境の保全を進めるには、正確な環境調査に基づく知見とともに、着目した種や植生環境に資する適切な環境管理、いわゆる「手入れ」が必要である 。この方法について、実験調査および資料調査をすすめノウハウの蓄積を行う。また、保全の将来像に向けた管理を進めるために緑地環境保全計画(マスタープラン)および行動計画について調査研究を行う。

3.環境教育
持続的な手入れを行うには、地権者や周辺住民の理解と継続的な関わりが必要である。法制度を司る行政や財源を支える民間企業を含めると、広く世論の支持が必要といえる。緑地環境の保全に対する社会への動機づけを広げるには環境教育、ツーリズム、ボランティア活動などを通じ、その価値や美しさ、「手入れ」を行う活動の楽しさを伝える必要がある。人と緑地環境の接点を作りだす方法やツールの開発、フィールドの開拓を行い、有効性の検証を持って社会への還元に努める。

本研究室は、デザイン(計画・設計)という職能に立ち、環境調査、環境管理、環境教育の3つの領域を横断した教育研究を進めることにより、劣化・消失しつつある緑地環境の保全が実現できると考える。そのようなマインドと技術を持つ人材の育成を目的とする。
芸術工学の理念のもと本研究室に所属するものは、常にこの3つの視野を持つことを規範とする。なお、このような幅広い範囲は「共に学ぶ」関係の構築で実現させることとする。