北海道(その三)

asahiro2007-01-14

さて、今回、私が北海道に来て提供された中心テーマは、登別ネイチャーセンター「ふぉれすと鉱山」でした。

室蘭の東に位置する登別市幌別町、鉱山町。ここの幌別鉱山は、明治39年に開業し、鉱山から幌別駅までトロッコで硫黄を運んでおり、最盛期には1300人を超えるほど賑わっていましたが、その歴史に幕を閉じました。今では、この鉱山跡周辺に十戸程度の小さな集落となっています。

地域の10年に渡る「市民懇話会」等を経て、平成14年、廃校舎跡を活用し、この「ふぉれすと鉱山」がオープンしました。

荒れ果てた自然、展示する物も無いネイチャーセンターの出発。
今年で5年目を迎える施設を、スタッフのM.Eさんにご案内いただきました。

私が驚いたのは、その活気、熱気です。

幌別駅から10キロも走り、突然現れるセンターに駐車されている多くの車、そして、遊びまわる子供達、数々のプログラムに関わる地域の人々。そして、人口5万人の街のはずれで、初年度に当たる平成14年の利用者数が1万5千人。しかも、年々伸び続け平成17年が1万8千人というから驚きです。

ここに、これからの中山間地域の山村が取り組むべき1つのモデルがありました。

彼らの歩みの中に、様々なヒントが示されています。詳細は、「ふぉれすと鉱山」のWEBサイト、特に、活動報告書をご覧下さい。

私が、特に感じたいくつかの点は下記です。

  1. 自然ではなく、人を資源として位置づけたネイチャーセンターであること。
  2. 10年に渡る市民会議を通じ、地元が自らの市民力を行使していること。
  3. NPO法人ねおすが、「プロ」としての立場で支援したこと。
  4. 行政と議会が、必要な施設整備とマネジメントコストを担保し、また、関係者に自由と責任を委ねたこと。

まず、2.について、開拓地である北海道ならではの本当の市民力が、ガバナンスとエンパワーメントの基礎となるということについて、私達は、地域活性を考えるとき、しっかりと心する必要があるように感じました。

次に、1.、3.について、ここにNPO法人ねおすの先進性と、英国BTCVとの類似性、同時代性を見る事ができました。今回、私からは、環境保全の考え方やBTCVのリーダー育成システムについてご紹介させていただきました。ふぉれすと鉱山の中心的な市民団体であるモモンガくらぶの松原氏は、「私達の考えてきたことは間違っていなかった。整理していただいて自身がついた。」と印象を話していただきました。継続的な課題とされている、人材育成の必要性について共通点を見出せたことは、私達にとって大きな収穫だと思います。

最後に4.は、行政と市民の決意と覚悟という点で、とても重要な支えです。

さらに、「ふぉれすと鉱山」の取り組みは、「サーキットモデル」として、学術的に提起されています。大変、分かりやすく、プロセス指向の社会関係性検証モデルとして、大いに参考になると考えられます。

北海道の方々の熱くストレートな議論、フィールドを通じた人材育成、深い思考は、勉強になりました。

ふぉれすと鉱山」は5年目を向かえ、新たな再出発を目指していると話されていました。皆さん個性が多様でいろいろ課題もあるようですが・・・事業毎のチームワークを、さらに強化されては如何でしょうか? もう少し、この点を強調すべきだったと反省しています。また、環境学習プログラムと日帰り活動が多いとの事。国際ワークやNICEの取り組んでいる合宿ボランティアも参考になると思います。

すばらしい3日間をいただき、ありがとうございました。
心を新たにして、リーダー講座パッケージの取りまとめを急ぎます。