芸術工学座談会

asahiro2006-06-05

6月3日に渾沌会(九州大学芸術工学部九州芸術工科大学同窓会)の主催する、芸術工学座談会「私の仕事」Live! 版 2006が行われました。

詳細は、同窓会WEBをご覧下さい。

環境は
【テーマ】 『発注者と受注者の視点で環境デザインを考える』

とし、T先生とK先生のお二方にご講演をお願いしました。

T先生は、東京本社ビルの移転計画に伴うプロジェクトリーダー(発注者側)の経験の中から、プロジェクトが進む中で、「ビル全体が分かる人がいない」という問題を体験され、施主のニーズを満足させる設計側の情報収集の不十分さがフラストレーションになると指摘されました。
社内のプロジェクトリーダーだけでなく、設計サイドは、もっと、営業、総務、開発各セクションの業務の機能・内容、言語を理解し勉強しなければならない。
両者のスムーズなコミュニケーションを行うには、よりイメージを具体的につめなければならないし、また、共通の目標を最初に掲げることも重要になるということでした。

ここら辺のご指摘は、環境デザインに広く必要とされる指摘だと思われます。

K先生は、「官公庁」「企業」「個人」という施主の属性による違いをご説明いただきました。
発注者と受注者のコミュニケーションには、模型を中心に話を展開・修正しながら進めるとイメージのズレを最小限に抑えられるとご指摘いただきました。
また、奈良県のある山村のシカの食害による森林被害についても指摘され、建築家でありながら、地域の問題を共有し、まちづくりの方向性を検討する業務に関わることもある。それは、保全家は保全を主張し、観光系は開発を主張するため、折り合いの付かない状況があるためで、課題を整理し、空間・時間軸で調整・提案を行うデザイナーとして、建築家のコーディネイト力が期待されているそうです。
建築だけでなく、このような新しいニーズに対し、建築家は自分の職能の範囲を認識し、他の専門家の適切な関わりを求めるスタンスが必要とされる共に、情報化・社会化に資するメディアに強くなるべきではないかと提起されました。

いずれの事例においても、エンジニアはいても、全体を理解しようとするデザイナーが不足しているという状況です。情報収集を行い共通の目標を持つこと。情報化・社会化を行いながら実践的なプロセスを踏むことが、今後の環境デザイナーに求められる資質のように思われました。

さて、今回の環境の座談会、OB含めわずか21名という少なさでした・・・広報がんばります。
しかし、学生諸君、このような機会は、絶対に逃すべきではないですよ!!
コンピューターで職を探すよりも、生身の人を大切にしてください。資源は人ですよ〜