ものづくり体験最終日

asahiro2005-11-07


「ものづくり体験」とは、芸術工学部環境設計学科の教育の一環として、平成15年度よりはじめた木造軸組みの小屋作り体験です。

このプログラムは、八女郡黒木町の杣人の会、環・設計工房と協力し、休憩のできる拠点作りとしてはじめたものです。

まず、最初に行ったのは、設計コンペです。学生達から自由な作品を募り、地元と教員でM君のプランを選定しました。片屋根のシンプルな形態ですが、ミツマタの咲く斜面上側に引き戸と窓を広く配置し、明るく広い空間を確保した点などが評価されました。彼は、設計者として、建築事務所と工務店の協力を得ながら、図面を引き、監理にまで関わっています。

サポート側の学生達は、まず、山林でスギ林の伐採作業をし、次に製材、そして、木組み部分の加工を体験しました。循環型で自然に適応した建築という地元と大学の志向から、壁は土壁、サッシ・引き戸は木、フロアのセンターには囲炉裏が配置されました。

一連の作業を終え、M君がもうすぐ卒業ということで、今日は、大学と会の最後の共同作業。床の板張りを行いました。

地場材で用意した厚さ三寸の床板は、とても存在感があり、この建物の将来が楽しみになりました。

足かけ三年、壁塗りや囲炉裏の銅版張り、トイレの設置、外溝など、まだまだ「会」のものづくりは終わりませんが、少しずつ作っていくという緩やかな建築は、時が空間を形作るという意味で、それはそれで良いような気がしました。

学生達にとっては、図面や講義室を出ての実地体験ということで、大変貴重な刺激であったと思われます。学科の教育として、建学初期の頃以来のプログラムではなかったでしょうか。

また、私にとっては、これまで続けてきた森林の保全、地域環境における実践型ボランティア活動を、木を伐るだけでなく、建築として利用した最初のプログラムとなりました。地元の大工さんからも、今後も続けられるといいね。というお話をいただきましたが、今後とも、このような方向性を模索したいと思います。

とりあえず、大学のかかわりは終わりです。杣人の会の皆様、竣工までがんばってください。

竣工後は、ぜひ、利用させていただきます。