箱崎阿恵線の緑を考える

asahiro2008-02-17


今日は、里山と建築から離れ、道路問題です。
福岡市東区箱崎阿恵線は2005年6月に開通しました。箱崎という町は古くからの路地や商店街が残り学生で賑わう町です。20年前から計画されてきたこの都市計画道路は、埠頭や都市高速と市内を東西に結ぶ4車線道路です。多くの裏道の通過交通が減り、利便は良くなりました。

一方、この道路は地域を2つに分断してしまい、産業道路並みのトラックの交通量があり、近隣の住民は予想以上の振動や騒音で被害を受けているとのことです。

被害者の会の方は、これを前向きな市民活動として取り組みたいということで、お話を依頼されました。「うわっ、この手の依頼ははじめて・・・」と思いましたが、道路を日々、ベビーカーを押しながら「おっ、この道路、実はユニークな道路だ」と思い、引き受けました。

何がユニークかというと。

  • 福岡市緑の基本計画で、この道路は「主な街路樹整備計画路線」とされている。これだけ交通量が激しいのに、「ケヤキ」だけを植栽している。

ケヤキ並木の美しさを考慮してと考えられますが、住宅地が接する幹線道路の街路樹の設計としては、少々、ケヤキの美しさへの信頼過剰です。そもそも、騒音などの衝撃を緩和する緑化機能を果たすには、常緑の中木低木を植栽する必要があります。福岡の気候に適した常緑広葉樹がたくさんあるのに、あえて、涼しくて土壌が深く、水はけのよい場所を好むケヤキを植える必要もないのではないでしょうか。人にとっても、植物にとっても、環境配慮として不十分だと思います。

  • 電柱・電線が道路と直交している

一般に、街路には電柱が立ち、上には電線があります。街路樹は、これでもかというぐらい強剪定されます。ところが、この道路の電線は、上を直交しているため、街路の上は大きく空が開け、将来、樹木は樹冠を広げるスペースが十分にあるのです。

  • 沿道に、やたら駐車場が多い

土地買収の際に中途半端な土地が頻出したためと推察されますが、木を植えるのになんとなくよさそうなスペースが至るところにあります。

そこで、私は、まずは、植栽されているケヤキに施肥をして、早く大きくする活動をしてはどうだろうか。次に、周辺の駐車場の持ち主に、1台分だけスペースを貸してもらい、木を植えるというのはどうだろうかと考えました。大きな樹が育てば、環境はすこぶる変わります。

道路を悪玉扱いするのも結構です。でも、地域のコミュニティーを活動の中で紬合わそうとするのであれば、植樹、コンポスト、園芸、菜園、子供の自然体験、おじいさんやおばあさんの趣味や手料理などとの連関を考え、様々な活動と連帯することが可能です。そのような、地域の方々による緑のまちづくりを期待し、地域の将来像を描いていただきたいと考えました。