人丸神社周辺の公園計画

asahiro2009-09-24

先日、S町の標記の公園に関するワークショップのコーディネイトを引き受け、第一回目を実施しました。

ここは住宅地に囲まれた里地・里山です。8年前にN先生と私はS町の第四次総合計画などのマスタープランづくりに全面協力し、私は環境保全機能評価を担当しました。当時、徹底したアンケートと市民参加型のワークショップが行われ、この近隣公園計画も同様に基本構想の絵まで作成していたのです。

ところが、8年の間にS町は実施設計を進め、住民に説明することもなく昨年度第一期工事を実施してしまいました。舗装園路を作り、それに沿って広葉樹林を一部伐採してしまったことについて、当時のワークショップに参加された方々は大いに怒り、S町に抗議をされました。私の役割は、そのもやいなおしです。

8年ぶりにS町を訪ねましたが、人々の間に募っている不信感をとても感じました。当時のアンケート結果では、自然豊かなまちが誇りであると、多くの住民が回答していました。この8年間、空港問題やJR新駅開発などもからみ、進められる開発行為について、住民はこんなはずではなかったという意見だと想定されます。マスタープランは一種の契約書であり、それを軽んじて事業を進めたS町は、住民の信頼、すなわち市民力という財産を大きく損ねてきたと考えます。

ピカピカの園路の周辺を歩くとその状況がよくわかります。雑木林には竹が侵入し林内も荒れ放題です。ため池の堤は草刈もされず。民家のそばの広場で、学生達は気を使うこともなくBBQを楽しんでいます。誰のための近隣公園なのでしょうか? 人も生き物もいなくなる公園事業など、良くある話なのかもしれません。緑地の保全と書かれた構想図の中身は、からっぽと言うほかありません。

ワークショップでは、意見出しをお願いするや否や、ほぼ全員が付箋紙への記載を拒まれました。自分達だけでこの場を進めるべきではないといわれるのです。なんと健全な考え方ではないでしょうか。S町の市民力の強さを改めて感じました。私は、8年前のワークショップの成果をレビューすることと、来られていない方々にニュースレターを配布し、同様の意見提出を求めていくことを事務局にお願いしました。町民は8歳の年齢を重ね、絶滅危惧種が最近発見され、新住民も増えました。当時の構想図は見直しが必要であり、この時間を大切にしていただきたいと説明し、参加された方々からは多くの意見を出していただくことができました。不信という壁を一緒に乗り越えることができ、今後、生き物環境と人の関わり方を併せて検討し、設計が進められると想定しています。

それにしても、開発という利権を優先し、市民との信頼を裏切り続けた行政は、クレームの嵐という結果を自ら招いたということを、もう少し認識していただきたいものです。